既存が天目という伝統釉を使用したニュー小口(95×54)の補修用タイルの調色をしました。
既存タイルは母体の原料の上に直接、天目釉が斑点で施釉されていました。ただ、これを施釉方法そのままに復元しようとすると、母体の原料の焼成後の色が当時と違っていたり、天目釉は酸化鉄で着色されていたりと、不安定な要素が盛り沢山。これではサンプルと生産品の誤差のリスクが大きくなってしまいます。
なので、今回は母体の原料そのままではなく、どろ釉(化粧土のような釉薬)で母体の表面を着色し、天目釉は使用せず安定した基礎釉に安定した顔料で着色して復元しました。
酸化鉄やマンガンを使用した天目釉独特の光彩までは再現できませんが、違和感のないところまでは復元することができました。
昔のタイルは色管理のことは考慮されていないことが多く、工業製品というより工芸品に近いものがあるため、こういうケースの場合は気を使います。